物損事故とは

公開日:2016-04-20 |最終更新日:2021-11-07

物損事故とは

物損事故とは、交通事故の中でも物的な損害のみが発生した事故のことです。

交通事故が起こった場合、当事者の損害内容が、車などの物が破損しただけの場合と、人の身体が傷ついた場合の2パターンがあります。

物が壊れる損害のことを「物的損害」といい、人の身体が傷つく損害のことを「人身損害」といいます。

交通事故の中でも、死傷者が出ずに物が壊れたり傷ついたりしただけのケースのことを「物損事故」といいます。

物が壊れた事故であっても、死傷者が出たら「人身事故」扱いになります。

物損事故でも警察を呼ぶ

交通事故が起こったとき、明らかに怪我人などが出ている人身事故の場合には、警察を呼ぶことがほとんどです。

これに対して、軽微な物損事故の場合には、警察を呼ばずにその場で済ませようとすることがあります。

しかし、交通事故が起こった際に警察を呼んで対処してもらうことは、道路交通法によって義務づけられています。

そのため、物損事故であっても警察は必ず呼ぶようにしましょう。

物損事故では慰謝料が発生しない

物損事故、人身事故、どちらの場合も、交通事故の被害に遭ったら、その相手方(加害者)に対して損害賠償を請求することができます。

請求することのできる損害賠償の内容は、人身事故と物損事故で大きく異なります。

物損事故の場合、人身事故に比べて請求できる内容が非常に少なくなります。

  • 車などが壊れた場合は、修理代や代車費用、レッカー車の費用
  • 商店やガードレールに突っ込んだ場合は、店舗やガードレールの修復費用
  • 被害者がタクシー会社やバス会社であった場合は、営業補償など

上記は一例ですが、物損事故の損害賠償の内容に含まれるものです。

物損事故は慰謝料を請求できない

物損事故の場合には、精神的損害である「慰謝料」は発生しません。

被害者の方の車がどれだけ珍しい高級車であろうとも、どれだけ気に入っている思い入れのある車であろうとも、物損しかないケースでは、相手方(加害者)に対して、慰謝料請求をすることはできないのです。

交通事故において慰謝料の請求が認められるのは、人身事故の入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡事故における死亡慰謝料のみです。

物損事故は休業損害や逸失利益を請求できない

物損事故では、慰謝料を請求できない他、休業損害や逸失利益の請求もできません。

これらの損害賠償請求は、人身事故の場合にのみ認められます(なお、逸失利益は後遺障害に伴う損害です)。

ただし、タクシー、赤帽などの業務車両の場合、修理期間中、業務が行えなくなるので休車損が認められる場合があります。

物損事故では実況見分調書が作成されない

物損事故では、警察において「実況見分調書」を作成してもらうことができません。作成されるのは、簡単な「物件事故報告書」のみです。

後日、事故の態様などについて争いが発生した場合には、事故状況を示す証拠が少なくなり、被害者にとっては不利になります。

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物損事故は加害者にとって有利

物損事故の場合、加害者の運転免許の点数は基本的に加算されません。

さらに、物損事故の場合には、加害者が自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)の過失運転致死傷罪に問われることも、基本的にありません。

物損事故になると、損害賠償の金額は抑えられ、過失を争われると証拠が不足し、行政処分や刑事処分はなく、加害者にとっては有利なことが多くなります。

自動車運転処罰法について

過失運転致死傷罪とは、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる行為」があった際に適用される犯罪です。

刑法第211条の業務上過失致死傷罪の類型で、以前は、刑法第211条の2に規定されていたのですが、2013年に自動車運転処罰法が制定され(2014年施行)、刑法第211条の2の規定も自動車運転処罰法第5条に移管されました。

飲酒運転等の悪質・危険な運転により死傷事故を起こした場合に適用する法律として整備され、2020年6月の改正(同年7月施行)では、走行中の車の前で停車するなどの通行妨害行為が「危険行為」に加えられました。

条項/内容 行為 処罰
2条
(危険運転致死傷罪)
以下の運転を行い、人を死傷させる行為
①アルコール・薬物の影響の下、正常な運転が困難な状態で走行
②制御困難な高速度で走行
③技能がないのに走行
④妨害目的で、走行中の車の直前に進入、通行中の人または車に著しく接近
⑤妨害目的で、走行中の車の前方で停止・著しく接近
⑥高速道路等において、妨害目的で、走行中の車の前方で停止・著しく接近、後続車を停止・徐行させる
⑦信号殊更無視運転
⑧通行禁止道路を進行
致傷:
15年以下の懲役
致死:
1年以上の有期懲役
(上限懲役20年)
3条
(危険運転致死傷罪)
アルコール・薬物または一定の病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転

→よってそのアルコール等の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させる行為
致傷:
12年以下の懲役
致死:
15年以下の懲役
4条
(過失運転致死傷アルコール等影響発覚脱免罪)
アルコール・薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転

→運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷
→その運転のときのアルコール・薬物の影響の有無または程度が発覚することを免れる目的で、追い飲み等をする行為
12年以下の懲役
5条
(過失運転致死傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる行為 7年以下の懲役もしくは禁固
または100万円以下の罰金

なお、同法6条には無免許運転による加重が規定されています。

物損事故と人身事故の判断は難しい

上記のとおり、物損事故と人身事故では慰謝料請求の可否や警察での取り扱いが異なり、被害者にとっては、物損事故として扱われるよりも人身事故として扱われる方がさまざまな損害を請求することができます。

交通事故が起こったとき、その事故が物損事故か人身事故かについて判断が微妙なケースがあります。
この場合、早急に物損事故だとして示談交渉を進めていくべきではありません。

典型例はむちうち症

交通事故直後には痛みなどの症状が全くなくても、事故後数日が経過してから痛みやしびれなどの症状が出てくる怪我もあります。
むちうち症などは、その典型です。

ところが、交通事故直後に物損事故として処理してしまい、病院にも行かなかった場合には、後日むちうちの症状が出たとしても、人身事故に切り替えるのが難しくなるケースがあります。

そこで、交通事故に遭って自分の身体に衝撃を感じたケースなどでは、目立った怪我がなくても簡単に物損事故とせず、通院して人身事故としておくことが大切です。

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物損事故から人身事故に切り替える方法

いったん物損事故として処理されても、人身事故に切り替える方法があります。

まずは、交通事故発生後10日以内を目途として、警察に届け出ることが必要です。
たとえば、交通事故発生後2~3日してから痛みが出てきたケースなどでは、早期に医師の診断書をとって警察に届け出ましょう。

保険会社にも報告の必要があります。
警察は、一旦、物損事故としたものを、人身事故に切り替えることを嫌う傾向にありますが、保険会社は人身事故として扱ってくれるのが通常ですし、事故の相手方(加害者)の自賠責保険に被害者請求をすることもできます。

その場合は、「人身事故証明入手不能理由書」を提出する必要があります。
ただし、過失に争いがある場合、被害者に不利にならざるを得ません。

弁護士に相談し、最も適した最善の方法を

交通事故の事案において、受けた被害に応じた適切な金額の賠償金を得るためには、専門家である弁護士のアドバイスを求め、そのアドバイスに従って行動することが大切です。

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※大変申し訳ございませんが、加害者側のご相談はお受けできません。



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担当の弁護士より、折り返しご連絡いたします( TEL: 03-5251-2300)。

弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴33年。交通事故取扱開始から19年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2021年末で累計1,885件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2022年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。