死亡交通事故の慰謝料の相場とその計算方法

公開日:2018-10-24 |最終更新日:2021-11-07

死亡交通事故の慰謝料の相場とその計算方法

交通事故によって被害者が死亡または負傷した場合の損害のことを「人身損害」といいます。この「人身損害」の最たるものは慰謝料です。

今回は、人身損害のうち、死亡事故の慰謝料(これを「死亡慰謝料」といいます)及び、その関連事項についてお伝えします。

死亡交通事故の慰謝料とは

そもそも、慰謝料請求権は一身専属権(本人しか行使することができない権利)であることから、かつての裁判実務は、被害者本人が死亡する前に慰謝料請求権を行使する旨の意思表示をした場合に限って慰謝料請求権の相続を認め、そうでない場合には慰謝料請求権の相続を認めませんでした。

しかし、このように考えると、加害者は被害者が即死した事故では加害者が慰謝料の支払いをしないで済むことになってしまうため、上記裁判実務に対しては学説による痛烈な批判がなされました。

最高裁判決(昭42.11.1)

そして、最高裁昭和42年11月1日判決は、被害者が即死した場合であっても、被害者が慰謝料請求権を放棄したものと解しうる特別の事情がないかぎり、これを行使することができ、被害者が死亡したときは、その相続人は当然に慰謝料請求権を相続すると判断し、この論点に最終決着がつきました。

ご参考まで
裁判所のホームページで最高裁判決の全文をご覧いただけます。
最高裁判所判例集」

現在の裁判実務

現在の裁判実務では、被害者が慰謝料請求権を行使する意思表示をしないまま死亡したケースであっても、その法定相続人による死亡慰謝料請求権の行使が当然に認められています。

死亡慰謝料の相場について

日弁連交通事故相談センター東京支部は、毎年、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)』というタイトルの書籍を出版しています。

この書籍は、東京地方裁判所民事第27部(交通部)が全面的に協力しており、交通事故訴訟に関わる裁判官や弁護士が必ず参照するほどの絶大な権威性があります。

上記書籍は、死亡慰謝料について、

  1. 一家の支柱(被害者の世帯が主として被害者の収入によって生計を維持しているとき)
  2. 母親・配偶者
  3. その他(独身の男女、子供、幼児等)

の3種類に分けたうえで、それぞれの慰謝料の金額について、一家の支柱が2800万円、母親・配偶者が2500万円、その他が2000万円~2500万円としています。

大阪地裁における交通損害賠償の算定基準

なお、大阪地方裁判所第15民事部(交通部)は、『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準』というタイトルの書籍を公刊しています。

この書籍では、死亡慰謝料は、

  1. 一家の支柱
  2. その他

の2種類に分けており、それぞれの慰謝料の金額について、一家の支柱が2800万円、その他が2000万円~2500万円としています。

大阪地裁における死亡慰謝料の増額事由と減額事由

大阪地方裁判所第15民事部(交通部)は、上記書籍の中で、死亡慰謝料の増額事由と減額事由を明らかにしています。

大阪地方裁判所第15民事部(交通部)は、死亡慰謝料が増額される事情として、

  1. 加害者に飲酒運転、無免許運転、著しい速度違反、ことさらな信号無視、ひき逃げ等があった場合
  2. 被扶養者が多数の場合
  3. 損害額の算定が不可能又は困難な損害の発生が認められた場合

の3点を挙げており、
死亡慰謝料が減額される事情としては、相続人が被害者と疎遠であった場合を挙げています。

これらの事情が死亡慰謝料の増減事由となる理由については明記されていませんが、死亡慰謝料には近親者固有の慰謝料を含むので、被扶養者たる近親者が多数のときは人数分の慰謝料請求権が増えることから慰謝料の増額事由となり、相続人たる近親者が被害者と疎遠のときは、疎遠な近親者が受ける精神的苦痛は少ないことから、慰謝料の減額事由となるものと思われます。

交通事故の加害者には慰謝料以外にも請求できる

交通事故により発生する損害は、大きく次の4種類に分かれます。

  • 積極損害(積極的な出費を伴う損害)
  • 消極損害(本来得られたものが得られなったことによる損害)
  • 慰謝料
  • 物損(交通事故により、車両、衣服などの物が破損したことによる損害)

上記の損害4種類のうち、以下には死亡事故による積極損害、消極損害について取り上げていきます。

それぞれの損害の概要については、「交通事故一般論」のページもあわせてご覧ください。

死亡事故の積極損害

交通事故で死亡した場合の積極損害は、即死のケースと、相当期間を経過した後に死亡したケースとで、異なります。

即死の場合

交通事故によって即死した場合、「葬儀に関する費用」や、「弁護士費用」がこれに該当します。
但し、「弁護士費用」は、裁判によって判決を得た場合に限ります。事実上の交渉では保険会社は弁護士費用の支払いに応じないのが通常です。

相当期間経過後の場合

交通事故発生から相当期間を経過した後に死亡した場合は、即死の場合の葬儀費用や弁護士費用に加えて、被害者が亡くなるまでの間に出費した治療費、付添看護費、入院雑費等も、積極損害に含まれます。

死亡事故の消極損害

交通事故で死亡した場合の消極損害も、即死のケースと、相当期間を経過した後に死亡したケースとで、異なります。

即死の場合

交通事故によって即死した場合、「死亡に伴う逸失利益」が消極損害に該当します。
逸失利益とは、死亡により将来的に得られなくなる収入を指し、給料、事業による利益、年金などが含まれます。

相当期間経過後の場合

交通事故発生から相当期間を経過した後に死亡した場合は、逸失利益に加えて、「休業損害」(会社員であれば給料等の賃金)も消極損害に含まれます。

慰謝料だけではなく、加害者を重く処罰することも可能

交通事故の加害者が負う法的責任は、

  1. 民事上の損害賠償責任
  2. 刑事責任
  3. 行政責任(免許取消し等)

の3種類です。

これらの法的責任は原則としてそれぞれが独立していますが、交通事故の加害者が起訴されるかどうか、検察官によって重い求刑がなされるかどうか、裁判官によって重い判決がなされるかどうかは、交通事故の加害者が民事責任を果たしたかどうかが影響します。

すなわち、現在ではほとんどのドライバーは対人無制限の任意保険に加入していることから、十分な賠償がなされることが通常ですが任意保険に加入していないなどの理由で被害弁償が不十分だと、相場よりも重い求刑や判決がなされます。

これに対し、民事裁判で通常認められる金額よりも多額の被害弁償を行うなどして被害者の遺族から宥恕(ゆうじょ)されると、相場よりも軽い求刑や判決がなされたりします(宥恕は、大抵のケースでは、「重い処罰を望みません」とか「刑務所ではなく社会の中で更生することを希望します」などの文言を入れた示談書に被害者の遺族が署名捺印する形式で行われます)。

弁護士に相談し、最も適した最善の方法を

交通事故事件において、受けた被害に応じた適切な金額の賠償金を得るためには、専門家である弁護士のアドバイスを求め、そのアドバイスに従って行動することが大切です。

被害者本人が死亡したケースでは、一般にその賠償金額も多額になることから、本来であれば得られたはずの賠償金をとりはぐれないように慎重に行動する必要があります。
とりわけ一家の支柱が死亡したケースでは、遺された配偶者や子供の生活費や学費に困窮することがないように、できる限り多額の賠償金を獲得しなければなりません。

当弁護士は、相談者の皆さまのことを第一に考え、交通事故被害のご相談であれば、何度でも無料で受け付けています。交通事故を原因とするご相談であれば、後見申立てのご相談についても無料です。

また、交通事故の被害者ご本人、そのお身内の方々からのご相談は、事務所での面談だけでなく、お電話やメールでもお受けしております。遠方にお住まいの方も、ご多忙で来所が難しい方も、事務所までお越しいただかずに無料相談が可能ですので、ご遠慮なくお問い合わせください。

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交通事故専門弁護士やまケン(山﨑賢一)にご相談ください。

※大変申し訳ございませんが、加害者側のご相談はお受けできません。



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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴32年。交通事故取扱開始から18年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2020年末で累計1,808件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2021年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高制」で、交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。