交通事故後のRSDとは?その症状と後遺障害が認定された際の慰謝料

公開日:2016-03-30 |最終更新日:2024-01-31

弁護士やまケン

弁護士 山﨑 賢一(東京弁護士会所属)

1989年4月に弁護士登録。通称「やまケン」。全国各地からご依頼をいただき、年間ほぼ100件以上の交通事故事案を完全成功報酬型弁護士費用特約のご利用で解決に導いています。当コラムでは、交通事故の被害に遭われた方に役立つ基礎知識を共有できればと思っています。

交通事故後のRSDの症状や認定される後遺障害

交通事故後の“RSD”とは、神経因性疼痛の1種であり、反射性交感神経性ジストロフィーや反射性交感神経性萎縮症と呼ばれる症状です。

カウザルギーという症状も、RSDに類似しています。

カウザルギーとRSDを総称してCRPSと呼び、中でもRSDをタイプ1、カウザルギーをタイプ2と分類しています。

RSDもカウザルギーも、同じように交通事故の後遺障害として認定されます。

交通事故後のRSDの疑い

交通事故に遭って骨折などの怪我をすると、手術やギブスをはめたりして治療をしますが、治療後も受傷部位の腫れがおさまらない、または皮膚の色が異常なまま回復しない、といったことがあります。

また、焼けるような痛みが起こったり、慢性的な痺れが起こったりするケースなどもあります。

このような場合には、RSDが疑われます。

RSD発症の原因

交通事故が原因で外傷を受けると、交感神経が反応して、アドレナリンが分泌されます。

ところが、その後もアドレナリン分泌がおさまらない場合に、血流障害などが起こって慢性の痛みやしびれが起こります。

これが原因でRSDやカウザルギーの症状が現れるのです。

RSDの具体的な症状

次に、RSDの症状をご紹介します。
RSDになった場合、具体的には以下のような症状が現れることが多いといわれています。

  • 疼痛や灼熱痛(焼けるような痛み)を感じる
  • 炎症などが原因で、著しい腫れが起こってひくことがない
  • 軽く触れただけでも過剰に反応する
  • 皮膚に異常が起こる(色が蒼白になったり乾燥したり、皮膚温が低下したりする)
  • 骨が萎縮する
  • 発汗に異常が起こる

RSDの症状には段階があり、具体的には、以下のような経過をたどることが多いです。

RSDの症状【第一段階】

第一段階は、受傷後1~3ヶ月くらいです。
受傷箇所に焼けるような痛みが起こったり、関節がこわばったり、血管が収縮したりします。

RSDの症状【第二段階】

第二段階は、受傷後3~12ヶ月くらいです。この段階では、痛みが強くなったり腫れの部位が広がったり、骨の萎縮が起こったりします。

RSDの症状【第三段階】

第三段階は、12ヶ月~2年くらいの間です。この間に、皮膚の異常と骨の萎縮が定着してしまい、痛みも悪化して、手足全体に広がってしまうこともあります。
これらのことが原因で、自由な動きができなくなってしまいます。

RSDになると、慢性的に続く症状によって、患者は、気分的にも大変滅入ってきます。
そこで、うつ病などを発症する人も非常に多いです。

RSDで認定される後遺障害

交通事故後、RSDの症状が残った場合には、後遺障害の等級認定を受けられる可能性があります。
その場合の後遺障害の等級と後遺障害慰謝料の金額は、以下の表のとおりです。

RSDの後遺障害等級と後遺障害慰謝料の金額

等級 症状 慰謝料
(裁判基準)
第7級4号 軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの 1,000万円
第9級10号 通常の労務に服することができるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの 690万円
第12級13号 通常の労務に服することができるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの 290万円

【備考】
・後遺障害が認定されたら、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。
・逸失利益とは、後遺障害が残ったことによってそれまでのようには働けなくなるため、その減収分に対応する利益のことです。
・事故前に高額な収入があった人や年齢の若い人などの場合には、かなり高額な逸失利益が認められるケースも多いです。

RSDで後遺障害等級認定を受ける方法

RSDの症状が残った場合に後遺障害の認定を受けるためには、以下の3つの症状があることが必要です。

  1. 関節拘縮
  2. 骨萎縮
  3. 皮膚変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)

上記の3つの症状が、健康な方の側と比較して明らかな場合に、後遺障害として認定されます。

後遺障害の認定を受けるためには、担当医師に後遺障害診断書を記載してもらう必要がありますが、RSDの場合、医師にも判断が難しいケースが多く、見逃されてしまうこともあります。

そこで、RSDの後遺障害を適切に認定してもらうためには、症状に詳しい良い専門医を探して受診することが重要です。

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RSDの場合に予想される保険会社の対応

RSDになると、慢性的な痛みや腫れ、しびれなどのストレスからうつ病になることがあります。

すると、相手方任意保険会社からは「RSDになったのは、心因的な素因によるところが大きい」と言われて、損害賠償金の減額を主張されることがあります。

しかし、うつ病になったのはRSDによるストレスが原因なのであり、うつ病が原因でRSDになったのではないのですから、このような主張は的外れです。

相手方の任意保険会社がこのような主張によって損害賠償金の減額を求めてきた場合には、応じることなく対抗することが必要です。

以上のように、RSDの後遺障害が残ると、後遺障害の等級認定手続きや、その後の損害賠償請求において、困難な問題が多いです。

自分で対処するのが難しい場合には、弁護士に相談したり、示談交渉を依頼したりすると良いでしょう。

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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴35年。交通事故取扱開始から21年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2023年末で累計2,057件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2024年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。