高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、外傷などによって脳に損傷を受けたことによって発症する、神経症状や精神症状のことです。

身体的な症状ではなく、記憶障害や注意障害などの精神的な症状です。

交通事故によって脳が強い衝撃を受けた場合、それが原因で高次脳機能障害になることがあります。

高次脳機能障害が発生した場合、身体が動かなくなったりすることがないので、一見元気そうに見えたり、異常が起こっていないように見えたりすることが多く、被害者ご本人も周囲の人も、交通事故による後遺症であると気づかないことが多いです。

しかし、実際には各種の精神症状が現れるので、社会生活に支障が出て、本人も辛いですし、周囲の人も振り回されて大変な思いをすることになります。

重篤な場合には、認知症のような症状が出て、日常生活にも支障が出ることもあります。

高次脳機能障害については、専門医でも診断が難しく、まだまだわかっていないことも多いので、大変やっかいな症状です。


高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害になると、以下のような症状が現れます。

記憶障害

高次脳機能障害になると、記憶障害が起こることが多いです。
記憶障害には、新しいことを覚えられなくなる症状と、過去の物事を思い出せなくなる症状があります。
たとえば、物をしまった場所を思い出せずに困ったり、今日が何月何日かわからなくなったり、自分が今どこにいるかわからなくなったり、同じことを何度も聞いてしまったりします。
約束を守れなくなることもあるので、誤解を招きやすいです。

注意障害

注意力が低下してしまう症状です。集中力がなくなって、行動にも一貫性がなくなります。
仕事でもミスが増えたり、長時間1つの作業ができなくなったり、周囲の状況を無視して行動をしてしまったり、人の言っていることに無関心になったりします。

社会的行動障害

高次脳機能障害になると、社会的行動障害という症状が出ることがあります。
これは、感情が制御できなくなったり、反対に、感情がなくなってしまったりして社会行動に問題が発生する症状です。
たとえば、すぐに大声を上げたり暴力的になってしまったり、自己中心的になったり、行動や態度が子どもっぽくなったり、思い通りにならない場合に極端に不機嫌になったりします。

遂行機能障害

高次脳機能障害には、遂行機能障害という症状もあります。

遂行機能障害とは、計画的に行動ができなくなったり、周囲の変化に対応できなくなったりする症状です。

この障害が起こると、時間を守れなくなったり、人から指示してもらわないと何もできなくなったり、仕事を予定通り仕上げることができなくなったり、計画を立てても実行できなくなったりします。

このように、高次脳機能障害の症状は、一見すると本人の個性とも受け取れるようなものが多いので、周囲からもなかなか理解されないことになり、本人も病気の自覚がないまま過ごしてしまうことになりがちです。


高次脳機能障害の後遺障害等級は?

交通事故が原因で高次脳機能障害になった場合には、後遺障害の認定を受けることになります。

後遺障害とは、交通事故によって怪我をした後、入通院による治療を続けても回復せずに残ってしまった症状のことです。

高次脳機能障害の場合には、その症状の内容や程度に応じて、異なる等級の後遺障害に認定される可能性があり、後遺障害の認定を受けると、その慰謝料を請求することができます。

以下の表には、高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害と、その等級における後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)の金額をご紹介します。

高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級と後遺症慰謝料
(裁判基準の場合)

等級 症状 後遺症慰謝料
(裁判基準)
1級1号 神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、
常に介護を要するもの(要介護)
2,800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
随時介護を要するもの(要介護)
2,370万円
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
終身労務に服することができないもの
1,990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1,400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
1,000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
690万円

高次脳機能障害の注意点

高次脳機能障害が起こると、日常生活でも支障が大きいので、後遺障害の認定を受けて適切な賠償金の請求をする必要がありますが、被害者ご本人や周囲の人が気づきにくいという問題があるので、交通事故後の行動が以前と異なる場合には、まずはこの症状を疑ってみることです。

良い専門医を見つけて診断をしてもらうことが何より重要です。

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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴32年。交通事故取扱開始から18年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2020年末で累計1,808件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2021年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高制」で、交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。