交通事故の自賠責被害者請求とは?必要書類と手続方法

公開日:2016-04-25 |最終更新日:2022-07-18

被害者請求

交通事故専門弁護士「やまケン」こと山﨑賢一です。

交通事故の自賠責被害者請求とは、相手方(加害者)の自賠責保険に対して、被害者が損害賠償金(保険金)の支払いを直接請求することです。

交通事故に遭ったら、被害者は相手方(加害者)に対して、損害賠償請求をすることができ、加害者はその損害内容にしたがって、被害者に対し賠償金を支払うことになります。

加害者は、任意の自動車保険に加入していることが多いため、通常は任意保険会社が支払いを行います。

ここでは、交通事故の自賠責被害者請求について、加害者請求と比較しながら、具体例を挙げてご説明します。

交通事故の加害者請求とは

冒頭に記載したとおり、通常、損害賠償金(保険金)は、交通事故の相手方(加害者)が加入している任意保険会社が支払うことになります。

ただ、交通事故の相手方(加害者)は、自賠責保険にも併せて加入しているので、自賠責保険から支払金額の一部または全部の支払いを受けることができます。

つまり、交通事故の相手方(加害者)や、その任意保険会社は、被害者に対して保険金の支払いをしたら、その支払った額を自賠責保険に請求することができるということです。

この手続きを「加害者請求」といいます。

交通事故の被害者請求とは

上記に掲げた「加害者請求」とは反対に、交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償金を請求しても、加害者が支払いに応じてくれなかったり、任意保険に加入していなかったりすることもあります。

このような場合、交通事故の被害者自身も、相手方(加害者)の自賠責保険に対して直接請求ができないと不都合が生じてしまいます。

そこで、交通事故の被害者自らが相手方(加害者)の自賠責保険に対し、保険金の支払いを直接請求することのできる手続きがあります。

この手続きを「被害者請求」といいます。

なお、自賠責保険の被害者請求については、自賠法16条に定めがありますので、「16条請求」と呼ばれることもあります。

後遺障害等級認定の被害者請求

自賠責保険の被害者請求が重要になる典型的な場面は、後遺障害の等級認定請求のケースです。

交通事故によって傷害を負って、通院治療を継続しても、それ以上状態が良くならずに後遺障害が残った場合、被害者は後遺障害の等級認定を請求することができます。

後遺障害には第1級から第14級までの等級があり、その等級認定を受けることによって「後遺障害慰謝料」や「後遺障害に伴う逸失利益」の請求をすることができます。

後遺障害の等級認定請求には、先ほどご説明したとおり、相手方(加害者)の任意保険会社がする事前認定の方法(=加害者請求)と、被害者自身が加害者の自賠責保険に請求する方法(=被害者請求)があります。

加害者請求は諸手続きを保険会社に任せられるので手間は掛かりませんが、被害者の後遺障害の手続きを加害者側に任せてしまうのは、手続きの内容に透明性が保たれず不安でしょう。

多少の手間が掛かっても、被害者自身が自賠責保険に直接請求をする「被害者請求」を選ぶことをおすすめします。

被害者請求をする方法

後遺障害等級認定の被害者請求をする場合の方法について、ご説明します。

まずは、交通事故の相手方(加害者)の自賠責保険に連絡を入れて、被害者請求に必要な書類を取り寄せます。

自賠責保険に「自賠責請求をしたい」と伝えれば、ご自宅宛に、請求に関する書類の一式を郵送してもらうことができます。

後遺障害診断書

通院先の担当医に「後遺障害診断書」を作成してもらいましょう。

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容や程度を記載した診断書のことです。

この診断書は、病院の書式ではなく自賠責保険の様式を使用します。

【後遺障害診断書に関する注意点】

後遺障害診断書の内容は、後遺障害の等級認定の際、非常に重要な判断要素になります。

後遺障害診断書にどのような記載をしてもらうかによって、後遺障害の等級認定が受けられるかどうかが変わってしまうこともあります。

そこで、後遺障害診断書を記載してもらう場合には、しっかりと担当の医師に症状を伝えて、的確に内容記載してもらう必要があります。

間違っても「症状が完治している」などと記載してもらってはいけません。

直接「完治」との記載がなくても、記載全体から完治していると読み取れる場合、後遺障害認定が受けられなくなる可能性もあるので、診断書の書き方には注意が必要です。

その他必要書類

担当医に後遺障害診断書を記載してもらったら、被害者請求の手続きに必要な書類や資料を作成(または収集)します。
後遺障害診断書以外に必要となる書類の例は、以下のとおりです。

  • 自賠責保険支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書
  • 印鑑登録証明書

自賠責保険に書類送付

上記の必要書類をそろえたら、自賠責保険にまとめて送付します。

自賠責保険に必要書類を送付すると、損害保険料率算定機構という機関で、後遺障害認定のための調査が開始されて、調査が済み次第、結果が送られてくることになります。

後遺障害が認定されると認定された等級が記載された書類、認定されなければその旨と認定しなかった理由が記載された書類が送られてきます。

交通事故示談前に仮渡金請求

自賠責保険の被害者請求には、仮渡金を請求するケースもあります。

仮渡金とは、損害賠償の内容がはっきりする前に、仮に賠償金のいくらかを先渡ししてもらう制度のことです。

交通事故の被害に遭った後は、ケガの治療や(死亡事故の場合は)葬儀費用など、さまざまな支出がありますが、示談交渉が成立して、実際に損害賠償金を受け取ることができるまでには、時間が掛かります。

そこで、仮渡金として、先に損害賠償額の一部を支払ってもらい、諸費用の支払いの足しにするのです。

仮渡金制度の詳細はこちら→「自賠責保険による仮渡金制度について

被害者請求は弁護士に相談

以上のように、交通事故に遭ったときは自賠責保険の被害者請求が必要になる場面があります。

専門家である弁護士のサポートがあると手続きがスムーズに進むことが多いため、被害者請求を検討されている方は、弁護士にご相談されることをおすすめします。

当事務所でも交通事故の無料相談をお受けしております。ご相談は何度でも無料ですので、お気軽にご利用ください。

まずは無料相談を!24時間受付OK!

保険会社の書類にサインする前にぜひ一度
交通事故専門弁護士やまケン(山﨑賢一)にご相談ください。

※大変申し訳ございませんが、加害者側のご相談はお受けできません。



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弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)
弁護士 山﨑 賢一 (Kenichi Yamazaki)

【東京弁護士会所属 No.21102】弁護士歴35年。交通事故取扱開始から21年のキャリアの中で手掛けた案件のうち交通事故分野は9割超。2023年末で累計2,057件の解決件数があり、年間にほぼ100件以上の交通事故事案を解決に導いています(2024年1月現在)。示談金の増額がなければ弁護士費用は一切不要の「完全出来高報酬制」で交通事故被害者を全面サポート!全国対応、交通事故のご相談は何度でも無料です。